なぜ詰将棋を解くと将棋が強くなるのか

記事の概要

・将棋が強くなるためには詰将棋を沢山解くことが効果的
・詰将棋を沢山解くことで、詰みの形を体で覚えることができる
・詰みの形を覚えると、細かな読みを省略することができるようになる
・細かな手を沢山読んでいると相手の玉を詰ますことが難しくなる
・細かな読みを省略することで、相手の玉を詰ますことができるようになる
・相手の玉を詰ますことができるようになると、将棋が強くなる
・一日一問の詰将棋を解くことを毎日続けることが効果的

どうすれば将棋が強くなりますか?

 将棋のタイトル戦中継等を見ていると、プロ棋士に対して「どうすれば将棋が強くなりますか?」という質問が来ることが良くあります。この質問に対する回答として最も多いのが「詰将棋」です。
 とはいえ、詰将棋をちょっと解いたからといってすぐにぐんぐん棋力が伸びるという訳ではありません。何度も何度も繰り返し解いていくことで、少しずつ強くなっていくのです。そのため、中には「詰将棋を解いて本当に将棋が強くなるの?」と疑問に思う人も居るかもしれません。しかしはっきりと断言することができます。「詰将棋は裏切らない」と。さらに藤井聡太七段をはじめとし、最近活躍しているプロ棋士に詰将棋を得意とする棋士が多いということを見ても「詰将棋を解くことは棋力向上に有効」であると言えるでしょう。
 さて前置きが長くなりましたが、今回の記事ではそもそも「なぜ詰将棋を解くを将棋が強くなるのか」について具体的な例を挙げながら解説していきたいと思います。

詰みと判断するまでの考え方 頭金編①

 相手の玉を詰ます時、どれだけ詰将棋を解いてきたかで結論にいたるまでの考え方が変わってきます。例えば下記の様な局面を見てください。この局面は既に相手玉が詰んでいますが、この局面が詰んでいるかどうかを考える際、詰将棋に慣れているかどうかで詰みと判断するまでの過程が変わってきます。それでは詰将棋に慣れている人と慣れていない人、それぞれどのように考えるのか見ていきましょう。

【詰将棋に慣れていない人の考え方】
・相手玉が逃げなければ金で取れる
・相手玉が①に逃げたら金で取れる
・相手玉が②に逃げたら金で取れる
・相手玉が③に逃げたら金で取れる
・相手玉が④に逃げたら金で取れる
・相手玉が金を取ってきたら歩で取れる
・どこに逃げても相手玉が取れるから詰み

【詰将棋に慣れている人の考え方】
・頭金だから詰み

【解説】
 詰将棋に慣れていない人は「ここに逃げたらこの駒で取れる、別の場所に逃げたら…」と具体的な指し手を一つひとつ読んだ上で、どこに逃げても相手の玉を取ることができるから詰みだと判断します。
一方詰将棋に慣れている人は具体的な指し手は読まずに「頭金だから詰んでいる」と判断しています。
 このように詰将棋に慣れている人と慣れていない人では詰みだと判断するまでの過程が
明確に違います。もちろん具体的な指し手を読むことが悪いことという訳ではありません。ただ詰将棋を沢山解いて詰みの形を覚えることで「細かな読みを省略することができるようになる」ということを覚えておいてください。

詰みと判断するまでの考え方 頭金編②

 次に、読みを省略することがなぜ重要なのかを考えていきます。そのために、まずは以下の局面で後手玉の詰みを考えてみてください。

【詰将棋初級者の考え方】
・▲6三金と打って玉が逃げなければ金で取れる
・▲6三金に△5二玉なら金で取れる
・▲6三金に△7二玉なら金で取れる
・▲6三金に△5三玉なら金で取れる
・▲6三金に△7三玉なら金で取れる
・▲6三金に△同玉なら歩で取れる
・▲6三金△5一玉▲5二金で△4一玉なら金で取れる
・以下省略

【詰将棋中級者の考え方】
・▲6三金に△5一玉なら▲5二金で詰み
・▲6三金に△6一玉なら▲6二金で詰み
・▲6三金に△7一玉なら▲7二金で詰み

【詰将棋上級者の考え方】
・頭金2回で詰み

【解説】
 どれだけ詰将棋に慣れているかで、読まなければならない手順の量に大きな差があることに気づくでしょうか。しかも上記の読みは正解手順のみとなっており、実際には詰まない手順▲6三金△5一玉▲6二金△4一玉等)も読むことになります。このように「膨大な量を読まなければならないと頭の中で詰みを読み切ることが難しくなり、読み抜け等のミスにもつながりやすくなる」と言えます。

詰みと判断するまでの考え方 頭金編③

 最後に、以下の局面について考えてみましょう。ちゃんと詰ませることができるでしょうか。

【詰将棋初級者の考え方】
・読まなければならない量が多過ぎて詰みを読み切れない
・詰みがあることに気づかない 

【詰将棋中級者の考え方】
・▲5五金△4三玉▲4四金△3二玉▲3三金△2一玉▲2二金で詰み
・▲5五金△6三玉▲6四金△7二玉▲7三金△8一玉▲8二金で詰み
・以下省略

【詰将棋上級者の考え方】
・頭金4回で詰み

【解説】
 詰将棋初級者は読まなければならい量が多すぎて、この形を詰ますことができないでしょう。また、詰将棋中級者の欄は詰み手順をかなり省略したので伝わりにくいかもしれませんが、実際には正解手順だけでも27通りもの手順を読む必要があります。しかし詰将棋上級者は何度も何度も頭金の詰将棋を解いており、頭金の詰み形を体で覚えているため、細かい手順を読まなくとも相手玉を簡単に詰ますことができるのです。もちろんそれが全てという訳ではありませんが「詰みのある局面で相手玉を詰ますことができるかどうかは棋力に直結」します。だからこそ、たくさん詰将棋を解いて詰みの形を体で覚えることが、将棋が強くなるために必要不可欠と言えるのです。

具体的に何すれば良いの?

 ここまで記事を読んでいただけた方は「なぜ詰将棋を解くと将棋が強くなるのか」ご理解いただけたかと思います。しかし中には「詰将棋の重要さは分かった。でも結局何をすれば良いの?」と思った方もいるのでは無いでしょうか。
 その答えは「毎日詰将棋を解く」ことです。このように書くと大変そうに感じるかもしれませんが、最初の内は日一で良いのです。重要なのは毎日解くことで、「詰将棋を解く」ということを習慣化することです。できれば登校前や就寝前、学校の休み時間等、毎日同じ時間に解くことが習慣化のコツです。慣れてきたら少しずつ解く量を増やし、大変だと感じたらまた減らせば良いのです。しばらく続けると一問を解くスピードが上がるので、仮に同じ学習時間であっても問題数を増やすことができるようになるでしょう。まずは「一日一問」を継続するように頑張ってみてください。

なぜ詰将棋を解くと将棋が強くなるのか への4件のコメント

  1. ピンバック : 詰将棋を解く際に意識するべきこと – リコット将棋教室

  2. やまだ

    短時間(10分)×7の時間で詰将棋を解くことで強くなれますか。
    それとも、60分×1の時間で解く方が力がつきますか。

    返信

  3. ricott

    やまだ様

    コメントありがとうございます。
    ご質問ですが「まとまった時間を確保して学習するのと、
    短時間の学習を複数回行うのではどちらが力がつきやすいか?」
    というご質問と認識しております。

    結論から申し上げますと「本人がやりやすい方」で問題ございません。
    どのような学習スタイルがあっているかはひとそれぞれ違いますので、
    細かな効率を気にするよりも、本人が集中しやすいやり方、
    習慣化しやすいやり方を選ぶ方が良いかと思います。
    ただし、上記は毎日学習する前提での回答となりますので、
    毎日10分と週1回60分ということであれば、毎日10分の方が良いかと思います。

    以上、ご参考になれば幸いです。

    返信

    1. やま

      ご返信ありがとうございます!
      すみません質問が分かりにくかったです
      1日10分×6と1日60分×1の時間ならということです

      やはり、時間配分より単に自分が集中できる方がいいのですね
      ありがとうございます!
      失礼します

      返信

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